2019年12月15日

全球主義的政経分離論

最近僕がみた国際情勢、特にブレグジット周辺で起きている、また今後起きていくだろう世界の変化について、わが国がどう対処していけばいいかの大指針を、僕如きが書かなければいけないのはある意味心外なのだが、どうも今の日本にそのレベルの知識人どもはサブカル漬けでみつからないのでやってみる。

 ブレグジットとはイギリスの移民排斥ヒステリーだ。あまりに単純化した見方の様だが事実でもある。ウィンブルドン現象が「古きよきイングランド」の全面を覆いつつあったので、日本でいうネット右翼級の人々が中韓追い出せとかいうレベルの排他世論をつくりあげ、政権を操りだしたものだ。表向きは。裏側にはわが国でもそうだけれども、自由派がいる筈だが世論を握れなくなっている。例えばイスラム国は英米イスラエルの諜報がつくったなる陰謀論があるけれど、これだってない証拠はとれないよう、イギリス諜報や英政策家側がどんな戦略ねってボリスの頭を見守ってるか、我々にはわからない。
 それで結論からいうと、ボリスの動きは、アメリカでいうトランプ政権誕生とほぼ帰一に思う。民衆側がグローバリズムで移民まじりの新体制にアレルギー反応を起こしたということだ。日本の場合、安倍晋三ダークテトラド政権(と思う)のおかげで表向き右翼ぶって現実政策は、割と自由貿易をやっている。
 日本のマイナー世論の一部には、今後、欧米で基調となるだろう「反資本主義」の流れを危惧するもの、つまり金持ち憎しの一揆が頻発みたいなのがあるが、自分は日本人一般(特に安倍政権下で社畜教育を強烈に受けた若い世代)の性質がもっと卑屈と思うので、多分欧米と大分違う動きになるのではないか。どちらかといえばわが国では「自己責任論」の主張の方が、社畜と卑下しながら同調圧力でニート虐めをくりかええす労働者クラスター、即ち一般庶民の間で、公然の規範になっている風にみえる。ある調査で世界一ひと助けしないのはこの為だ("World Giving Index 10th edition")。安倍長期政権はその種の冷たい社会をつくりあげてきたわけだ。

「反資本主義」はボリス政権もそうだが、特にトランプ政権の内部的原理としては自家中毒を起こしている。これを詳しくいうのは余程の政経系の言語知能がないと難しいわけだけれども、一言でいえば国家資本主義なんだろう。対外国では反グローバリズムで対自的にパトリオティズム。石原慎太郎みたいな。でフランスの場合はもっと忠実に「反資本主義」を反映していると思う。イエローベスト運動も今度の年金デモもそうだ。一回前は社民系が統治していたし、フランスの人はある意味ではよく耕されていて、公共心が豊かなんだろうきっと。上述の国家資本主義のエゴも、イギリスより幾らか薄いのだろう。
 他の欧州各国も、まあ大体この2国、英仏の大まかな流れに追随してんじゃないかなという感じがあり、イギリスは欧州の反EU派、フランスは親EU派の代表格みたいなもんではないか。大体の国々はどっちかの中間で、ドイツみたくEU中枢でどっしり構え全然他国に同調しないガチ系もいる。
 僕が接した人達の感じからいって、国家資本主義のエゴは、実際はグローバル(全球)資本主義のがんみたいなもんだと思った。でもイギリス人にいってもアメリカ人にいっても、彼らがよほどジムロジャース級お茶目ではっちゃけてなければ、僕のその批評に「は?」と感じると思う。まあ土着的なのだ。
 日本人の一般商人は、全然そんな欧米の流れはよみとってないだろうし読み取る必要もないだろうしポケモン剣盾やりながら匿名ネットでサイコに荒らして誹謗中傷プゲラ憂さ晴らしとか、実にその下ないといったら可哀想だが、ま、どえりゃあ民度なので、こんなのどうでもいいだろうが一部の人には重要だ。

 僕は、日本のTHE知識人(絶滅危惧種)の大勢へ逆張り意見だが、全球資本主義のリーダーはアメリカじゃなく中国なんだろうなと思っているのだ。経済単独の目でみるとトランプ政権のせいで習近平の方が障害物競走でなんも置いてないレーンを独走できてしまっている。市場は自由に。単純だが偉い理想。
 香港人すら僕のこの意見にはガチギレかもしれんが、だからしりあいの香港人に直接きこえないここでいってるのだが、正直いわせていただくと、イデオロギー闘争って本当に幼稚な次元だと思う。天狗党と諸生党の壮絶政党闘争史をもつ私たちからみると、大人になりなよ、としかいえないのでござる。
 もっと大きな目でみると、地球人みんなを先進国並の物質水準にひきあげる需要だけでも、莫大な経済開発になる。そこのところに気づいてるのは、なんとグレタ的なことに、G8G7で誰もいない。巨視的鷹の目を現実レベルでもってるのは、習近平国家主席だけではないか? さすが小沢さんには畏友がいる。

 とどのつまり国家資本主義にこだわってるかぎり今後の覇権争いから普通に転落していくという、なんていうのか諧謔じみた展開が私の目にはみえるのだ。それを一番感じたのはあの世界の大英帝国民がもう古都のプライドで空回りしてるだけにしかみえなかったときで、一抹の寂しさも感じるが風前の灯だ。経済学的には、おおまかに市場統制系の派閥(最近ならリフレ、ヘリマネ、MMT含む)と、放任系(古い言い方なら古典派)の派閥があるとして、習さんは、日本人の学者はある種の共産バイアスで非難するだろうが思想的に後者で、安倍さんは前者だ。僕は安倍さんを代えて欲しい。途上国の発展が第一だ。
 第二鳩山政権、いや小沢政権が僕が望む現実的解法なんだが、日本人中央値世論は小泉息子に期待しようってんだからまあ始末に負えない。一般国民からみたら僕のいってることの方が意味不明なんだろうけど、僕から見ると、一般国民のひとを見る目がない。ステーキ食って環境相。それは馬鹿というのだ。

 具体的に日本の方針を最後にかくけど、少子化の上に働きづらいのが誰の目にも明らかな国に、建前だけ立派な労働奴隷を呼んでもあんまりこない。だからブレグジットヒステリーが生じる以前の話で、むしろ日本企業を海外に雄飛させねばならない。特にインド、中国、東南、中央アジア。そして南北朝鮮だ。もっと先にいけば、既に中国資本が牛耳りつつあるというか既に牛耳ってる情報が入るアフリカ圏があるけど、どこの国でも公正な競争で、日本企業勢と比較して、消費者や政府から誠実性や技術力で選んでもらえばいい。社畜冥利に尽きるのでは? 誰が不幸になるのか疑問だ。国家資本主義は愚行にすぎぬ(勿論、これもただのイデオロギー、考え方だから固執する意味もなければ、対立する考え方と戦う必要もないし、間違っているかもしれないというより、恐らく間違いを大いに含んでいていずれ別の考え方を採用した方が合理的になるかもしれない。いわば指針はいつでも変えられるわけで、単にある現実的目的に向けた現状で最もふさわしい仮定なのである)
 ま僕が一々こうやって迷える子羊国の背中をおさなくても、世界史の流れでみたら、もしかしたら別の誰かが同じアイデアを出して潮目が変わり、「母国が少子化なら途上国支社で出稼ぎすればいいだけじゃん!」と気づいたのかもしれぬが、だーれもそれをいっていなかったし米英仏は移民過多で気づけない。

 ここでは商売に焦点をあてたので、政治問題そのものは深堀りしなかったけど、日本共産党の志位さんが「政経分離」というすばらしい言葉を使っていらっしゃった。共産党がそれをいうのは凄いと僕はツイッターで突っ込んだんだけど無視された。向こうも反応に困るからいいが、安倍ファンは猛省すべきだ。