時は初秋の空気が清らなある夕暮れの午後。所は北茨城市磯原町の海辺の砂浜。人は素直な生まれ育ちの可愛らしい地元の少年であるこ、ななめにふりそそぐつめたいあめ、銀色のするどくすぎさっていくとき。
こ:なぜこんなに世界はわるく、つまらないところなの。
あめ:もっとさきまでみてご覧。もっととおくまで。
こ:どうして。
とき:どこまでいっても、そんな風に社会はとまっていない。
こ:このよはどうしてあるの。
あめ:とかく、きづけることはすべてきづいてご覧。どこにいっても、どこについても。
とき:まっている世界はいつもおなじ。
こ:じゃあ、どこまでいけばいいの。
少年は不思議でした。海鳴りがはてしなく、耳をひたしていきました。雲がどこまでも、どこまでも太平洋をいろとりどりにかわりつつわたっていきました。はてしなく地上をそめあげている夕暮れのなか、肌に心地よくつめたな秋雨がしとしと降りながら。水色のレインコートをきた少年はさしている小さな青い傘から、その向こうにどこまでも広がる海をみていました。やがて綺麗な星がいくつもいくつも、澄んだ空に輝きはじめるまで。