人間が種内的な生き物である限り、つまり地球生態系に属する進化の筋書きである以上その最高の徳度もまた、種内環境への適応力に属する事柄な筈だ。
仲間の為に殉死することや国家への献身といった構造主義的な行為がしばし礼賛されるのは、上記の理由にそのまま基づく。
集団と個人を時代にとり最良に調和させる倫が道徳と呼ばれる共有概念ではないのか。
自律精神の目的性を至上と視たカントに対して、私は道徳性の相対主義を持ち込まざるをえない。それが近代の倫理的世界を瓦解させる認識だとしても、更なる高みを目指す行人の歩みは止められるものではないだろう。