2023年3月2日

成田悠輔氏による巨視経済学上の詭弁

政府支出・GDP成長率因果性定理(仮説)

定立1.長期的にGDP算出式(GDP=GDE=民間消費+民間投資+政府支出+純輸出)通り、GDP比で政府支出が多い国々のGDP成長率が高くなる傾向に収束する可能性がある。

定立2.但し短期的には政府支出・GDP成長率間の相関性が低く、因果性にも疑義がつく国がみられる。

 YouTube『ABEMA 変わる報道番組 #アベプラ』「 【経済学者】成田悠輔&池戸万作が熱論!日本なぜ成長できない? 」(2023年1月6日)で成田氏は政府支出・GDP成長率間に因果性があるとは限らないとしたが、上記の定理2のみの観点を使った一般論的な定理1の否定を試みる詭弁だったと思われる。

参考:

5. 結論
(前略)OECD加盟国38か国の1980 年から2021年までのデータを用いて、政府支出と名目GDP、およびGDPデフレータの間のグレンジャー因果性を分析したところ、国によって時期によって結果が大きく異なったが、名目GDPから政府支出への因果性を示唆する結果が多かった。
 (中略)日本のGDP統計の四半期データ(1994年から2021年)を用いたところ、2008年以降の日本では、名目GDPから政府支出(政府固定資本形成あるいは政府消費)への影響が確認されることは全くなく、逆に説明変数として政府支出のリード変数を用いた分析では、政府支出を増やすと総需要が増える関係にあることが明らかとなった。
――朴勝俊『タマゴが先かニワトリが先か? 政府支出とGDPのグレンジャー因果性に関する検討』2022年6月28日、PEP (People's Economic Policy) DISCUSSION PAPER 2022-1。
https://economicpolicy.jp/2022/06/29/1262/より)