マツウラ・ヒロシ氏が「教養有無と、法文上の任命可否は関係がない」「学問の質を、業績をみずに、総合的・俯瞰的観点から判断する事はできない」と指摘しつつ、川勝平太・静岡県知事を問題のありかがわかっていない愚か者と評していた。相当程度に正しいと思う。
一方、広義だと「任命する」の法文を曲解すれば、内閣府内部資料の如く「(日本学術会議からの推薦者を全員必ず)任命する義務があるとまではいえない」と解釈できなくもないし、憲法15条に反する法は違憲で無効(憲法98条)故、公務員選定罷免権が内閣にないとまではいえないだろう。
日本国憲法 第十五条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。これらがあるので任命拒否の説明を宇都宮健児氏、複数学会らが求めている訳で、要は現内閣は法的灰色で内閣人事権を乱用した。その目的が立派なら賞賛されたかもしれないが(優生学者、主戦論者らの大局に立った排除とか)、唯の無学な安倍独裁の延長なのが酷い。
日本国憲法 第九十八条 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。
スガ首相は排除に直接関与し得る立場になかったと答弁したが、実際には105人の一覧表をみていないが排除の考えは固く持っていて判断に関与していたと杉田和博官房副長官が説明。
仮にスガ氏の総合的・俯瞰的判断とは政局を学説に優先させる意味とする。もしそうなら「任命する」法文の曲解による行政の人事権の乱用は、広義ならそれも法学の基礎教養の一部欠如かもしれないが、結局、スガ氏が権術主義的なら法治は飽くまでその手段としか捉えられていないだろうから教養があろうとなかろうとそう判断した筈、という意味で、川勝氏は差別的で憲法14条(法の下の平等)違反だろうと思う。
日本国憲法 第十四条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。
またマツウラ氏がいう通り学問の質そのものを見ずに(推薦者の学業の詳細すら知らずに)、総合的・俯瞰的観点からそれを評価など当然できないので、スガ氏がこの文言でなにを言わんとしていたか、第三者にはよくわからない。
端的にみると、安倍晋三氏の基礎法学に無知な違憲政治を非難していた人らだ。つまり安倍違憲政治が誤りだと知っている学者は排除する!――成蹊大の学生すら非難声明した(アーカイブ)様に、日本中の法学徒だって先ず以て判っていると思うけど――とか、日本中の大学から法学部を洗い浚い無くさないと結局、不可能な事である。無理を通せば道理が引っ込む。今後が楽しみだ。