2020年6月25日

主語

時間よりもっと短いうちに、
だれかに伝ええない
すっかり勘違いされた自分がいる。
それで君は余りに焦り、
自分を消去した。
もう人など誰もいない、
事実さえ見当たらない夜更過ぎ。
君の言葉のその奥に、
既に落としてしまった宝石や
コンタクトレンズより透明な真実。
でも誰も気にしなかった。
だってそんなお遊びも
所詮宇宙の隙間で、
もし君がこの瞬間
急に消えてしまっても
僕はその世界に一つも残らない。
そんな普通よりもっと酷い
ありえないくらい凍りついた、
この星の小さな島で
あしたも下らない太陽に照らされ、
でも退屈凌ぎに主語はいうだろう。
「曖昧めかした自分なんて
最初から蜃気楼で、
はっきりしているのは
それも作り話だった」と。