2018年12月10日

倫理の最重要性

技術は倫理を少しも向上させない。寧ろ悪徳をもつ人々の有害さを更に強化し、公害をまきちらしさえする。我々が人生から受ける幸福を、他者を必要としない個人の快楽から分離すると、我々の人生は高い技術では少しも幸福になりはせず、その技を悪用する多くの他者がいる社会では却って不幸が増す。人類にとって倫理はどの時代においても最重要の命題であり、諸技術はこの手段でしかない。
 諸々の知識(日本語では原語としてのscienceからしばしば科学と訳されている)の中で倫理のみが、人類自身の知恵である。知識が不道徳に用いられた時、それは目的を外れて人類に不幸をもたらす悪しきものとなる。従って科学は技術の、技術は倫理の手段であり、各々の重要さを取り違えている人々は自他を不幸にする。