2010年4月23日

石畳と灯籠

世界で最も単純な理想はそれが零れる渕にあって、人々が感心したもの。誰の為でもなく、理想は溢れ返る。誰の為でもなく。私達の昔の姿はまざまざとした過去を映し込む。誰の為でもなく、今は。けど、理想はそう見ないのだろう。結局の所は、だが。世界では理想が溢れ返るのを見なす個性毎に、今がある。夢だとして。
 社会秩序が崩れ落ちても、人は又似た世の中で巡りゆくのか。我々の過去も、今も。ゆっくりと流れくる河川が、とおい時代から言伝てつたうのを覚えるが。さりぬもの。つまらない世界のどこもかしこも、だった。ごく昔の話だから憶えてすらいないのなら、この去りゆく川はいずこへの旅を。誰も、憶えてすらいないのなら。私達の昔も、今も。
 スパリゾート・ハワイアンズでの思い出なら同じく、この世は流れ去るのみの思い出。誰も、なにも憶えてさえいないのなら。誰に向けてでもなく、おおつちは底無しの分解を続けるのではなかったか。石畳と灯籠。