2007年7月21日

常磐沖

人は海辺に座って、はるかな未来を夢想している。波が繰り返し打ち寄せ、地上の権威をことごとく洗っていく。何の為に産まれたか、何の為に死んで行くか。空は運動する光の魔法みたいで、だけど、雲は形を与えてくれない。くすんだ手元の認識、とりあえず向こう側の、特に意味という意味のない、少しずつ展開して行く社会。ハンドルは操作した通りの場所へ連れて行ってくれる。約束は遠ざかる。人類の名義を取った理想の音程。退屈をまぎらわす、時代の流れ行きに泳ぐ、魚。去る為に繰り返し押し寄せる波。ひたひたと、けど、須らく。汲み尽くし得ない泉みたいな、海。