2007年3月7日

芸術論

普遍的原理に可能な限り則ろうとした少なからず普遍的な芸術作品は半開人類からは世界の均質化を招く元凶であるかのように中傷されている。だが、彼らはすべての文化が文明度の暫時表現でしかないことに無明なのである。すべての耕作の目的が福祉にあるのは疑うべくもない。とすれば文明の表現、即ち芸術の普遍主義とは同時代という文化状況の最高度の達成だ。言い換えれば、あらゆる文化活動は個別性を脱却して普遍形を実現しようとする進歩の多律チャートに過ぎない。従って、我々は文化を殊更に強調する意味を全く持たない。啓蒙はとどまる処を知らず、文明は福祉の追求を止めない。
 審美感は絶対に美術の本質たる造型の合理審査性を裏切らない。