2007年3月20日

普遍的宗教としての理論学

宇宙の理由は人間が創造しうるので、それが理想的なのもまた明らかだと考えられて然るべき。世界は理想郷的な環境に違いない。近代化とは一途に、人間と社会における秩序の開拓にすぎない。科学でさえ方便。なぜなら我々は永久に総合的宇宙論に達しない。全ての理論は証明の範囲でしか信頼し得ないのだから。乃ち知性の漸進的虚構だ。よって理論は、新たに創作された合理体系によって常に更新されねば信頼性そのものがない宗教だといわれる。
 完全に矛盾が発生しない体系を造ることは不可能である。しかし、矛盾の発生率を下げていくことは自由の範囲にある。錯誤の反対概念としての真理とは、知性による自己合理化の作用でしかない。だから究極では決定不可能なまま弁証法的に漸進する。
 尤も科学以上の普遍的宗教の方策を我々は未だに生み出せないでいる。